呼吸器外科では現在7名の医師で診療を行っております。当科の診療指針と特徴は
そのために以下の3項目を行動規範として診療を行っております。
大学病院の使命は、あらゆる疾患に対して、どのような状況においても最新の知見にもとづき患者さん一人一人にあった医療に努めることだと考えています。
進行肺癌に関しては、外科治療だけでは治らない場合も多く存在します。当院においては、呼吸器内科と連携して術後の補助化学療法を積極的に行っております。また、適応になる患者さんが希望された場合は術後補助化学療法+免疫療法の治験(BR.31)などに入って頂いております。また、今後増加することが見込まれる放射線治療後(もしくは放射線化学療法後)や分子標的治療後の再発・再燃患者さんに対して根治を目指して行うサルベージ手術も積極的に行っております。このように、我々は、進行・再発肺癌においても「群馬大学で治療をしたい」と言われるように日夜、呼吸器外科の診療に取り組んでおります。
当科では、安全に努めて患者さん一人ひとりに合った治療を提供するため、以下のような取り組みを行っています。
肺機能の評価は、肺の手術をする上で一番大切な機能検査です。我々は、手術前に詳細な肺機能の評価を行い、レントゲンやCTなどの画像所見と合わせることで、潜在的な(今まで診断されていなかった)肺気腫や間質性肺炎などを事前に見極め、手術前に呼吸訓練や吸入薬などの治療を行い、肺機能をなるべく良くした状態で手術を行っています。その上で、患者さんの呼吸機能や全身状態に応じて手術法、肺の切除範囲を決めています。低肺機能の患者さんや早期がん、転移性肺腫瘍の患者さんには、区域切除を積極的に行い肺機能の温存を目指しています。また、心臓病や糖尿病、腎不全などの併存症がある方は、大学病院としての特徴を活かし、手術前から各々の専門科と協力して診療を行うことで、合併症の予防に努めるとともに、手術後に生活の質が落ちないよう、息苦しくならないように気をつけています。
区域切除
ヒトの肺は左右で合計5枚の「肺葉」がありますが、それぞれの肺葉は、その中でさらにいくつかの「区域」に分かれています。
「区域切除」は、肺葉を全て取らずに、その中の1つ、あるいは隣接した複数の区域のみを選んで切除する手術方法で、一般的な葉の単位で切除する肺葉切除に比べ正常肺を多く残すことができます。
肺の形、肺の血管や気管支の形は患者さん一人ひとり異なっています。当科では、手術前に3D-CTを撮影して患者さんごとの解剖(血管や気管支などの分岐)の特徴、違いを確認し、手術のシミュレーションを行って安全な手術を心がけています。
3D-CT
手術前に撮影したCTのデータを用いて、肺の立体画像(3D-CT)を作成します。患者さん一人ひとり異なる解剖、特に肺の血管や気管支の分岐を確認し、手術のシミュレーションを行い手術の安全性の向上、手術時間の短縮に努めています。
胸腔鏡手術(完全鏡視下手術)を積極的に行っています。区域切除の際には、解剖学的名区域(肉眼的には見えない区域)の同定を範囲従来の方法に加え、ICG蛍光区域間同定法を併用して行い、正確な切除範囲を決めています。また、リンパ節転移や隣り合った臓器への浸潤を伴う進行癌の手術も積極的に行っています。その際には血管形成や気管支形成、区域切除などの技術を用い、可能な限り肺全摘(片方の肺を全て摘出する手術)を回避するよう努めています。
胸腔鏡手術
小さな傷を数箇所おき、胸の中をモニターで見ながら細径の手術器具を使って行う手術方法です。従来の開胸手術と比べ、手術後の痛みや整容性の面で優れています。
ICG蛍光区域間同定法
従来は、切除する区域にファイバースコープで空気を送り込んで区域を確認する方法(選択的送気法:左図)を行っていましたが、現在は蛍光色素を注入する方法(ICG蛍光区域間同定法:右図)を併用し、より正確な区域間の確認を行っています。
ICG蛍光区域間同定法は、臨床試験として行っています(こちらをご参照ください)。
呼吸器内科、放射線科、画像診断部と合同のカンファレンスを毎週行い、専門家の知識を集約して患者さん一人ひとりに合った治療の方針を決めています。化学療法や放射線治療を行う際の、他の専門科との連携もスムーズです。また、呼吸器内科と連携し、手術後の補助療法として免疫治療を行う治験(BR.31)も行っています。
2014-2018年当科の過去5年間の総手術症例は1262例でした。
手術総数は年々増加傾向にあり、特に肺癌と転移性肺腫瘍が増えております。
当科では手術の低侵襲化を目指しており、手術数全体の約8割を胸腔鏡手術で行っております。
当科においては、前述の通り病気を切除しつつ、呼吸機能を温存する「根治性とQOLに配慮した手術」を目指しております。その為に、良性はもちろん、早期がん、転移性肺腫瘍に対して積極的に区域切除術を導入しております。現在は、全体の手術の約2-3割が区域切除であり、この区域切除の割合は、全国でもトップクラスです。逆に、進行癌に対しては、極力、気管支形成や肺動脈形成術などの技術を用いて、肺全摘(片肺をすべて取る手術)を回避し、2014年以降で、肺全摘は全手術の0.7%のみです。
肺癌において手術治療を受けた方の一般的な予後を示します。5年生存割合とは、その病気の治療後5年間で何%のかたが生存しているかの値であり、他の病気で亡くなった場合にも割合が下がります。(※2011年肺癌合同委員会報告 全国11663例 より抜粋)
群馬大学呼吸器外科では、火曜日を除く平日午前に初診枠を設けています。
※通常の初診(紹介受診)の場合は、診療情報提供書をご持参の上、受診いただけると幸いです。午前10時30分までの初診受付をお願いしております。
当科では県内外の医療機関と連携を図りながら診療を行っています。地域の身近な医療機関で一般的検査や術後外来診察を行い、当院にて専門的検査や手術治療を実施することで、より手軽な高度専門医療の提供を目指しています。
※基本的に初診を予約される場合は、医療機関からのみ可能です。紹介医(かかりつけ医)様にご相談ください。
※紹介状が無くても、健康診断などで検査異常・胸部異常影を指摘された患者様は当院での精査が可能です(別途に初診料金がかかります)。午前10時30分までの初診受付をお願いしております
詳しくは、以下の群馬大学医学部付属病院ホームページをご覧いただくか、下記連絡先へお電話ください。
肺腫瘍(原発性肺癌、転移性肺腫瘍、良性腫瘍)、縦郭腫瘍(胸腺腫瘍、胚細胞腫瘍、神経鞘腫など)、胸壁腫瘍、気管・気管支腫瘍、その他胸部腫瘍性疾患、自然気胸、膿胸、胸部外傷(肋骨骨折、胸骨骨折)
下記日程にて行っております(※火曜日以外は新規患者さまに対応いたします)。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | 初診 (連携枠) |
初診 (急患のみ) |
初診 (連携枠) |
初診 (連携枠) |
初診 (連携枠) |
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再診 |
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再診 |
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午後 | 初診 (連携枠) |
初診 (急患のみ) |
初診 (連携枠) |
初診 (連携枠) |
初診 (連携枠) |
再診 |
再診 |
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