INTERVIEW

群馬県で専門医取得のすすめ!~専門医取得と妊娠・出産・育児のバランス~

"Our Medical Path: Specialization and Parenthood"

先輩医師に訊く!
専門医取得までのキャリアパス

インタビュイー:高崎総合医療センター 

成澤 瑛理子先生


群馬県で専門医取得のすすめ!「専門医取得・更新」と「妊娠、出産、育児」について、先輩医師たちの経験を紹介し、医師たちが群馬県での研修とキャリア形成を成功させるためのポイントを解説します。
インタビュアーの群馬大学麻酔集中治療科の熊倉みなみ先生がさまざまなゲストを迎え、複数回にわたって連載します!

2018年4月から、新専門医制度が導入されました。
仕組みが複雑であるため、学生や初期研修医の中にはどのような制度なのか分かりにくく、不安を感じている方々が多いのではないでしょうか。
初期研修中には、専門医を目指す科を決定するだけでなく、研修指定病院のカリキュラムに登録する必要があり、早い段階でシステムについて十分理解していることが必要です。
また、専門医資格取得までに、妊娠、出産、育児など人生の大きなイベントによって一時的に勤務継続できない期間や、働き方に制限を設ける場合も考えられます。
どのようなプロセスで専門医の資格を取得できるのか、また、群馬県内の研修指定病院のプログラムではどのようなサポートが受けられるのか、
という疑問に答え、実際に働く先輩医師のリアルな素顔に迫ります。

◆ 外科専門医試験は2022年の出産、産休、育休の期間に重なりませんでしたか?

2021年度までの後期研修を終えて2022年に試験なので、本来試験は2022年でしたが出産の1週間後だったので受験できず、2023年に受けました。コロナで中止になった年もあり、2022年が新専門医制度の試験初回だったので、何月にやるのか公式の発表がでるまで分からず、分かっていたら出産のタイミングと重ならないように調整したと思います。試験の月に出産にならないようにさえすれば、外科専門医は遅れずに取得できると思います。

HISTORY

成澤 瑛理子先生
2017年群馬大学医学部卒業 

2017年4月~2019年3月 高崎総合医療センター初期研修
2019年4月  群馬大学総合外科に入局 
2020年4月 高崎総合医療センター消化器外科勤務
2021年4月~高崎総合医療センター乳腺内分泌外科勤務
2022年8月 第1子出産
2023年8月 外科専門医試験

サブスペシャリティ連動コース

1年次、2年次の経験症例数を考慮しながら、大学及び連携施設において、サブスペシャリティー領域(消化器外科、心臓・血管外科、呼吸器外科、小児外科)、または外科関連領域(乳腺など)の専門研修を開始します。

『群馬大学外科では成澤先生のようにサブスペシャリティ(乳腺外科)を考慮して研修、ローテーションを行うことができます』

乳腺外科専門医の要項を見ると産休、育休は修練期間に含まれないと。産休育休を取ると、修練期間が足りず、産休育休をたとえば最短しか取得しなくても皆より1年遅い専門医になる?

2019年に外科専攻医となった人は最短で2024年の試験が受けれるようなのですが、私は1年遅れで2025年となります。論文がなかったのでどのみち早くて2025年だったと思います。(むしろ産休中に論文を書けました)外科専門医までは、同期みんなで最短でとるのが普通、という感じですが、乳腺外科専門医となると同期はいないし、毎年1人いるわけでもないし、という形なのであまり最短でみんなと遅れずに取りたいという意識もありません。先輩方も出産関係なく必ずしも最短の年数で取得している資格ではなく、旧専門医制度との違いもあるかもしれませんが、自身のタイミングで取得する方が多い印象です。

8月にご出産されて何月に復帰しましたか?産休、育休、復帰期間はどのように決めましたか?

2023年の1月、子供が4か月の時に復帰しました。自分の希望で決めました。好きな時でいいよと言ってもらっていましたし、産んでみないと分からないから、と産休に入る時点で復帰時期を明言することも求められませんでした。ただ、自分が抜けた分の補充があるわけではないことや、少し上の先輩の育休期間が短かったこともあり長期には取りにくい雰囲気はあると思います。せめて育休中に外勤の先生が外来をやりに来てくれたりしたらもう少し休みやすいかとは思います。

今はどのような勤務形態ですか、当直などもしているんですか?保育園のお子さんが発熱していますとcall!その際、どう対応されていますか?

今はフルタイムで、平日の残業は一切しないという形です。当直は免除してもらっていますが、土日のどちらかはほぼ回診に来ています(これは医局というより当院の乳腺外科が土日の回診をみんなでやる雰囲気があるので)。子供が熱出した際は主人や自分が交互に休んだり、両親に来てもらってなんとかしています。今のところなんとかなるタイミングで熱を出してくれているのですが、子供の体調不良は予測不能なのでなかなか大変ではあります。

多忙な乳腺外科医を志した理由

研修医の時に乳腺外科をローテートし、仕事や家庭で様々な役割を担う女性を支えることができることに魅力を感じました。乳腺外科を専門とする前に消化器外科や心臓血管外科等も経験するため体力面で不安がなかった訳ではありませんが、手術が好きなのでローテートが必要なことをマイナスとは感じませんでした。

◆ 群馬県でご夫婦で外科医、子育てに不安はありませんでしたか?群馬県に残った決め手は?

私は神奈川で、主人は群馬です。最初は東京に就職を考えていましたが、私が乳腺外科に入ったのには群馬の乳腺外科の先生方の人柄もあったので群馬に残りました。群大の外科は大講座制で、外科という一つのグループとして仲間意識があります。このため消化器外科などの先生方にもとてもよくしていただき、ローテートしている間もホームな感じで充実した研修ができました。この点も群大外科の良いところだと思います。

専門医制度について群馬大学のカリキュラムや環境のよかった点

専門医取得のために必要な症例を全員が集められるよう配慮してくれます。後期研修中に育休を取得している先生もいます。

要項を見ると、外科専門医は後期研修中に産休育休は6ヶ月までならセーフ、6ヶ月以内ならみんなと同じタイミングで取れるということ?

そうですね。

子育て環境としては、両親フルタイムで勤務していると習い事などが制限されてしまうのかなと少し心配しています。群馬県には医師会の保育サポーター制度があり、利用している先輩も多く、とてもありがたい制度だと思っています。

私も利用しています。とてもいいご縁で信頼できる方にサポートしていただいております。

あとは保育園に入れない問題は都会の話だけかと思っていたら認識が甘かったです。

群馬県も保育園探し本当に大変ですよね!両親医師としてフルタイム勤務でも、保育園に入れず働けない、学童が定員がいっぱいで働けない方多くお話聞きます。

はい。前橋市と高崎市でも募集の仕方が違って、前橋から高崎へ引っ越すつもりだったのでそれもあって余計に、間に合わない!となりました。医局人事の際は、院内保育園に預けられるところという希望を聞いてもらいました。

医局の人事采配のサポートもあって先生の希望の時期に復帰することができましたが、保育園や学童など働く女性をサポートしていく体制を強化して、女性医師が職場にスムーズに戻れる環境を整備してほしいですね!医師不足解消にもつながると思います。

子供を預けられる制度の拡充は前提として必要だと思います。ただ「保育園が夜遅くまで預かってくれるから残業できる!働きやすい!」ということではないと思います。病院内でも仕事を効率化して、子育てにも十分な時間を割けることが理想と考えます。

専門医制度について(群馬ということに限らず)困難と感じる点

外科専門医取得に関しては、群馬大学の外科のカリキュラムで特に問題なく取得できると思います。妊娠出産を挟んでも経験症例等は保持されるので大丈夫です。乳腺外科専門医も、妊娠出産で取得が大きく遅れることはないように思います。

成澤先生が考える将来設計とライフワークバランスについてご結婚されて出産のタイミングなど迷いませんでしたか?

群大外科では最初の2年間は一般外科(主に消化器)をやるのでその間は出産は考えませんでした。乳腺外科配属になって、コロナで延期した結婚式が終わり、外科専門医取得の要件もそろってちょうどいいタイミングという感じでした。

先生が仕事を続けていく上で今一番困っていることは何ですか?

 来年度から大学院進学を考えていますが、人手不足で大学院のみにできず社会人大学院生になります。今の業務にそのまま研究が加わるのでできるだけ仕事を効率化させて、研究や子育ての時間を捻出しなければなりません。医師の数が増えて、自分のライフスタイルに合わせて、社会人大学院生になるのか、臨床から離れ大学院生になるかを選べるといいなと思います。

子育てをしながら乳腺外科医として専門医のカリキュラムをこなす成澤先生から、これから乳腺外科医を目指す先生方へ伝えたいこと!

私は現在高崎総合医療センターで勤務していますが、上司に恵まれ、子育てと両立することができています。職場の保育園に預けて、仕事の合間に授乳に行けたことが自分のメンタルにとってとてもよかったと感じています。自分がよくしてもらって本当に感謝しているので、先輩になった時には、子供の有無にかかわらず後輩の皆さんが働きやすいようにしたいなと思っています。

産後の人事希望では、仕事の合間に授乳に行ける病院、群馬大学や前橋日赤、高崎総合医療センターに希望を出したりするといいかもしれないですね。 後輩の皆さんが働きやすいような環境とはどんな環境だと思いますか?子供が熱を出したり、体調が悪い時など先生がカバーする?ということ?

そうですね。突発的な時のカバーはもちろんです。コロナでどの先生も急に休む可能性があって、ある意味お互い様だったのは少し気が楽だったかもしれません。子供のことで休んだ翌週、コロナで先輩が休んだので、お互いカバーし合う感じになったことがありました。あとは抽象的ですが、気遣い?でしょうか。例えば、手術で助手をしていてそろそろ授乳のタイミングだな、という時に、なかなか自分から「行ってきていいですか」とは言い出しにくいですが、今の病院では上司の方から「手おろしていいよ」と言ってくれたり、授乳の時間になると交代に来てくれたりしました。

ありがとうございました。外科専門医取得、さらに乳腺外科専門医取得に向けて邁進されている成澤先生のお話大変参考になりました!

群馬大学外科専門研修プログラムの中で子育てもうまく両立されているパワフルな成澤先生!来年はさらに社会人大学院生ということで今まで通りの診療時間の他で、子育てと研究を両立されるというのはとても大変な道と思います。また成澤先生が学位を取得された時にもインタビューさせていただきたいです!

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