INTERVIEW

群馬県で専門医取得のすすめ!~専門医取得と妊娠・出産・育児のバランス~

"Our Medical Path: Specialization and Parenthood"

先輩医師に訊く!
専門医取得までのキャリアパス

インタビュイー:麻酔集中治療科

佐藤 萌 先生


群馬県で専門医取得のすすめ!「専門医取得・更新」と「妊娠、出産、育児」について、先輩医師たちの経験を紹介し、医師たちが群馬県での研修とキャリア形成を成功させるためのポイントを解説します。
インタビュアーの群馬大学麻酔集中治療科の熊倉みなみ先生がさまざまなゲストを迎え、複数回にわたって連載します!

2018年4月から、新専門医制度が導入されました。
仕組みが複雑であるため、学生や初期研修医の中にはどのような制度なのか分かりにくく、不安を感じている方々が多いのではないでしょうか。
初期研修中には、専門医を目指す科を決定するだけでなく、研修指定病院のカリキュラムに登録する必要があり、早い段階でシステムについて十分理解していることが必要です。
また、専門医資格取得までに、妊娠、出産、育児など人生の大きなイベントによって一時的に勤務継続できない期間や、働き方に制限を設ける場合も考えられます。
どのようなプロセスで専門医の資格を取得できるのか、また、群馬県内の研修指定病院のプログラムではどのようなサポートが受けられるのか、
という疑問に答え、実際に働く先輩医師のリアルな素顔に迫ります。

今回は群馬大学麻酔集中治療科、佐藤 萌 先生にインタビューさせていただきました!

◆麻酔科医を志した理由を教えて下さい!

学生時代は麻酔科には全く興味がなく、内科を志望して研修病院を選びました。しかし研修医時代に麻酔科を回った際に、気管挿管やルート確保、脊椎麻酔などの手技を多く経験させてもらえたのがとても楽しかったのと、その時の麻酔科指導医の技術の美しさや臨床能力の高さに憧れを抱き入局を決めました。

HISTORY

佐藤 萌 先生

2017年群馬大学医学部卒業
2017年4月~2019年3月 済生会前橋病院初期研修医2018年12月 結婚
2019年4月群馬大学麻酔科に入局、以降群馬大学麻酔科にて勤務
2019年10月 第1子出産
2020年5月 職場復帰
2021年10月 第2子出産
2022年5月 職場復帰
2025年 麻酔科専門医取得予定

麻酔科での手技や術中、集中治療における病態の診断・治療、そして各科の先生との連携、麻酔科の魅力アピールになりますが、私も初期研修で実際に回ってみてはじめて麻酔科になることに決めた一人です。

◆今はどのような勤務体系されていますか?

入局した時点で妊娠していましたが、第1子の産休に入るまではフルタイム(大体7時〜手術室が落ち着く19時前後まで勤務、週1〜2回の当直あり)で勤務していました。1回目の職場復帰後は7時ごろ〜17時まで、当直は自分の希望日に月1〜2回といった勤務でした。第2子妊娠以降は7時ごろ〜17時、当直なしの時短勤務(麻酔科内ではそう表現されます)です。
第1子が生まれた頃、私の父がちょうど定年退職したため、送迎や育児はかなり協力を得られています。夕方のお迎えは私が行っていますが、朝の送りは時間的に困難なので父にお願いしています。急な発熱など迎えが必要な時は父が対応してくれることもありますし、絶対に休めない日などは急なお迎え要請に備えてあらかじめ都合をつけておいてもらうなどしています。
周りの女医さん達はサポーターさんにお願いる人もいますが、我が家は今のところ何とかなっているので、家族の力をかりて頑張っています。

第一子妊娠中 学会発表
一度目の復帰時

妊娠中もそしてお子さんが産まれてからもかなり精力的に病院業務に携わっていらっしゃいますね!
佐藤先生のお父様が積極的に協力してくださったり、家族の協力が得られるということもありますが、いつも佐藤先生が少しの時間も無駄にせずに勤務されたり学ばれている姿を見ているので、そのことがライフワークバランスを上手に保っていく原動力なのかなと感じています。

妊娠、出産、キャリアアップのために、周りの環境から得られたサポート、こんなふうに工夫して乗り越えたなど教えていただけたらと思います。

妊娠中は体調がすぐれない事が多く、特に2人目妊娠中はつわりや切迫早産で急な休みをいただく事がありました。また勤務できる日も長時間手術や放射線を使う手術など負担の大きい業務は避けていただいていたように思います。妊娠による母体の変化は想像以上に大きいものですし、お腹の赤ちゃんを守れるのはお母さん(実際に周りの人に言われた言葉です)ですので、これから妊娠される方にも無理せず’母健連絡カード’などを活用して体調最優先で過ごしていただけたら良いと思います。
また、麻酔科専門医取得には定められた症例を一定の数以上経験していることや学会発表の経験などが必要になってきますが、その条件を満たせるよう、効率よく症例を確保できるように配慮して頂きました。

専門医取得のメリットは各科によって違うので、早く取得したいという考え方もいれば、ベテランの中堅医師になってこれから取得する先生も中にはいらっしゃいます。佐藤先生はどのようにお考えですか?

麻酔科専門医取得は産休・育休合わせて6ヶ月以内であれば同期から遅れずに資格取得が可能です。私は2回の産休・育休を合わせると、専門医取得が同期より最低2年は遅れてしまいます。ですが、麻酔科では専門医があってもなくても業務上そこまで差し支えはありませんし、最短で取得する人もいればのんびり取得する人もいるので、自分の準備が整った時に取得したいと考えています。

フリーランスの麻酔科や現地採用の先生ですと専門医取得かどうかでお給料が変わったりということもありますが現状麻酔科医局に勤めていながら専門医取得が数年遅れることは何か大きな不利益になるということはないですよね。医局に属すことで症例などは戦略的にバランスよく経験できますし、学会発表などのサポートも充実していますので、佐藤先生のタイミングで取得していただくことが最適と思います。また取得した後の更新が、麻酔科はかなり縛りが多いと感じています。専門医取得後、私なりに可能な限り早めに産休・育休から復帰しましたがそれでも従事期間が足りないということで、機構専門医更新が不合格になってしまったり、現在の新専門医制度を取得された方も非従事期間が更新の5年間で53週以上ですと専門医の休止(資格の喪失)期間にされてしまったり、追加の単位のノルマがかされてしまうので、その点も家族計画やライフワークバランスについて麻酔科に入局する時には検討した方がいいかもしれません。

◆後期研修期間に産休、育休をとったことで感じた大変だった点やこんなふうになったらいいなという点、また良かった点など教えていただけたらと思います。

シニア半年で産休に入ったので知識や技術が定着していない部分があり、復帰した際は忘れてしまっている事もあり、育児をしながら仕事に慣れるまでが非常に大変でした。ですが麻酔科ではシニアは上級医とペアで麻酔をかけることがほとんどなので気軽に相談できるところが良い点です。
同期から遅れてしまうことに焦りを感じた時期もありましたが、自分が妊娠・出産を経験して感じたこと、育児や子どもの成長に携わること、母子保健に関する知識に詳しくなったこと、それを自分の強みとして日常診療やキャリアに活かすことができています。

第二子出産時
二度目の復帰時

◆キャリアアップと結婚や出産のタイミングなど迷っている女性医師も多いと思います。ぜひ佐藤先生の考える将来設計やライフワークバランスについての考え方と、ぜひ後輩の皆さんへアドバイスをお願いいたします。

私の場合、これからどのようにキャリアを積んで行こう!と考えるより前に妊娠が判明したのであまり参考にはならないかもしれません。実際、子供が生まれてからは帰宅後も自分の時間はほとんどありませんし、仕事中に時間を見つけて試験対策をするのは難しいと痛感しています。
ですが、妊娠・出産・育児は想像以上に体力勝負であり、自分と家族が少しでも若く、少しでも体力があるうちに妊娠・出産・育児に取り組めたことは良い点だったのかなと感じています。
周りに迷惑をかけてしまうのでは?と不安になることもありますが、いつか子供達が大きくなってたくさん働けるようになった時にたくさん恩返ししよう!と考え、育児真っ最中の現在は今のできる限りで尽力しているつもりです。
 また、妊娠・出産に関しては必ずしも計画通りに行くものではありませんよね。私は授かった時が生み時!と前向きに捉えていました。シニアでの出産は決して楽ではありませんでしたが、意外と何とかなるものです。
妊娠出産は女性にとって人生の最も重要なイベントの1つです。ご家族とよく話し合い、みなさんが納得できるライフプランが見つかるよう願っています。

現在
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