診療のご案内

乳腺・内分泌外科

 

乳腺・内分泌外科では乳がんをはじめとする乳腺疾患、甲状腺疾患、上皮小体(副甲状腺)疾患の診断・治療をしています。外来では、乳腺専門医・日本乳癌学会の認定医、および日本外科学会の指導医・専門医を中心に、チームとして責任を持って診察させて頂き、手術の必要な患者さんには外来で病状や治療法などについて説明させて頂きます。入院時には再度、担当医から治療法について説明させていただき、安心して手術が受けられる体制を整えています。乳腺・内分泌外科担当医は全員が日本乳癌学会、日本内分泌外科学会に所属しており、学会出席と発表を責務としており、常に最新の医療水準を保てるよう努力しています。研究面でも患者さんに役立てるような治療法の開発に努力しています。また、スタッフは女性医師が多く在籍しており、安心して診療が受けられる体制を整えています。がん看護専門看護師や乳がん認定看護師などの乳腺専門の看護師を配置し、患者さん、ご家族の悩み相談にも応じています。


| 乳癌

 乳癌は女性の癌において増加の一途をたどっており、1990年代半ばより部位別罹患率は第1位となっています。乳がんの治療には手術療法、放射線療法、内分泌療法、化学療法などがありますが、病気の進行程度や広がり具合に応じて各治療法を組み合わせて治癒向上に努めています。乳腺から発生した癌(原発乳癌)の診断の場合、乳癌は全身に広がる(転移する)可能性があり、転移をきたすと根治が困難な状況、生命に関わる危険がある病気です。手術の目的は、乳癌病巣を外科的に切除し、全身へあらたに転移することを阻止することです。標準術式には乳房切除と、乳房温存術があります。どちらの手術でも生存率には差はありませんが、温存術では、術後放射線療法を追加、検討します。術式の選択は、乳房内の腫瘤の大きさ、周囲への広がり、多発する病変の有無、乳管内の広がりの程度、温存した場合の残存乳房の整容性、手術後の放射線療法が可能かどうか、患者さんの希望などを総合して検討します。乳房切除を施行する場合は、乳頭と乳房皮膚を温存する乳頭温存乳腺全切除術や、形成外科専門医と連携し、自家組織(自分の筋肉や脂肪など)や人工物を用いた乳房再建もおこなっています。


| 甲状腺癌

 甲状腺は前頚部にある臓器で、甲状腺ホルモン(体の代謝を調節している)を産生しています。甲状腺がんは甲状腺にしこりができることにより発見されることが多いです。また、甲状腺の近くには声を出す筋肉を調節する神経が通っているので、声がかすれるという症状で発見されることもあります。甲状腺がんの約90%が乳頭がんという予後の良いがんなので、手術によりほとんどの患者さんが治癒することができます。また局所進行がんの場合でも、呼吸器外科、核医学科、放射線科と協力して集学的治療を行います。


| バセドウ病

 バセドウ病は、甲状腺が腫れて甲状腺のホルモンが過剰につくられ、甲状腺機能が亢進する病気です。甲状腺に対して攻撃してしまう抗体をつくってしまう、自己免疫性疾患のひとつですが、原因はよくわかっていません。甲状腺のホルモンが過剰につくられることにより、さまざまな症状が引き起こされます。甲状腺の腫大、頻脈、動悸、多汗、体重減少、疲労感、振戦(手のふるえ)、息切れなどがおき、甲状腺以外の症状では眼球突出などがみられることがあります。血液検査で甲状腺機能を調べれば診断がつきます。バセドウ病の治療方法は、1)手術、2)内服による内科的治療、3)放射性ヨード内用療法があります。バセドウ病治療の第一選択は抗甲状腺薬による内服治療です。手術による治療は以前より減少してきていますが、内服の副作用がある、内服薬で改善しない、妊娠、挙児希望がある、腫瘍が併存するなどのような状態であれば手術も適応となります。手術の適応については担当医とよく相談して決定します。内科と外科の専門医が治療法の相談に応じます。


| 上皮小体(副甲状腺)機能亢進症

 副甲状腺ホルモンは骨よりカルシウムを血液中に溶かしだし、血液中のカルシウム濃度を一定に調整する働きがあります。副甲状腺機能亢進症は、血液中のカルシウムが高いにもかかわらず、副甲状腺ホルモンが必要以上につくられている状態です。そのため、骨中のカルシウムが減少して骨粗鬆症を生じたり、尿路結石、消化性潰瘍、膵炎などをひきおこすことがあります。また、易疲労、抑うつ、筋力低下などがみられることがあります。原発性と続発性の2種類の病態があります。原発性は上皮小体にできた腺腫、がんなどの腫瘍や過形成により上皮小体から分泌されるホルモンが過剰に分泌された状態です。副甲状腺は通常4腺ありますが、そのうち1つだけ腫大し、副甲状腺ホルモン(PTH)を産生する腺腫であることが多く(80-90%)、すべての副甲状腺がPTH を産生する過形成が10-15%、副甲状腺癌が1-2%の頻度です。続発性は主に慢性腎不全の方が罹患します。薬で改善しない場合、薬が副作用で内服できない場合などが手術適応となります。副甲状腺機能亢進症に対しては、MIBIシンチグラフィーを用いたナビゲーション手術も行っています。

診療実績

疾患2018年2019年2020年2021年
乳腺疾患215254247243
 温存術851018388
 乳房切除術109133126117
 乳頭温存乳腺全切除術4425
 乳房一次再建16162528
 その他17163633
甲状腺癌44393739
良性甲状腺腫,バセドウ病26312536
副甲状腺991217
その他2529
合計296例338例323例344例

医療関係の方へ


 乳癌をはじめとする乳腺疾患、甲状腺疾患、上皮小体(副甲状腺)疾患の診断、治療をおこなっています。乳癌に対しては、乳房温存術だけでなく、形成外科と協力し、乳房再建を含めたオンコプラスティックサージャリーにも積極的に取り組んでいます。遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)に対しても、遺伝診療部、婦人科と連携して対応しております。乳癌においては検診要精密検査となった方の精査等に加え、術後に関しても地域連携パスを用い、地域の病院、診療所と連携した診療を実践しています。また、がん看護専門看護師や乳がん認定看護師などの乳腺専門の看護師を配置し、患者さん、ご家族の悩み相談にも応じています。内分泌疾患では、甲状腺癌、バセドウ病、副甲状腺機能亢進症に対する手術をおこなっています。副甲状腺機能亢進症においてMIBIシンチグラフィーによるナビゲーションサージャリーにも取り組んでいます。内分泌内科、呼吸器外科、核医学科、放射線科と協力して集学的治療を行っております。
研究面では、腫瘍血管新生についての検討、乳癌治療薬の感受性、予後因子としてのバイオマーカー同定、特に感受性や予後の解析をTILsやmicroRNAを中心に網羅的に行っています。さらにFDG-PETの有用性など臨床研究も進めており、世界に通じる研究を推進しています。臨床試験や治験も積極的に行なっております。今後も患者さんのご紹介をお願いするとともに、世の中や時代のニーズに対応すべく、一流のオンコロジストを目指すスタッフを募集しております。随時ご連絡いただければ幸いです。

群馬大学大学院医学系研究科総合外科学講座
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