診療のご案内
肝胆膵外科
肝胆膵外科では、現在医師6人で診療を行っています。平成27年11月から、肝胆膵外科の豊富な診療経験を持つ調 憲(しらべ けん)医師が責任者として赴任し、さらに安心、安全の肝胆膵外科の診療が行えるようになりました。
肝胆膵外科では肝胆膵疾患に罹患した患者さんおよび家族の人生をより良いものするために、最良の医療を提供することをめざします。当科は、一人ひとりの患者さんを丁寧に診療し、患者さんにとって最善と思われる治療方針を提示し、その実践に全力を尽くします。
安全性を重視するとともに、患者さんお一人お一人との出会いを大切にし、最善の個別化医療(個人個人にあった医療)に基づいた長期予後の向上を目指しています。私たちは個別化医療について3つのことを考えています。(1)全身状態に応じた治療法選択:今、高齢の肝胆膵疾患の患者さんが増えています。高齢になれば肝胆膵疾患以外の合併症(心臓病、糖尿病など)をお持ちの方々がおられます。これらの患者さんに対しても関連各科との連携を密にし、安全に手術や治療が行えるように最善の努力をいたします。(2)病気の状態に応じた治療選択:良性の病気(胆石症など)や早期のがんには腹腔鏡を中心とした低侵襲治療の適応を考えます。進行した癌をお持ちの患者さんに関しては、拡大手術で根治を目指します。(3)治療の組み合わせによる治療法(集学的治療)の適応:手術のみならず、抗がん剤や重粒子線などの放射線療法を駆使し、あるいはそれぞれの治療法を組み合わせることで、最善の治療法を模索します。そのために当院の消化器内科(肝臓内科、胆膵内科)や放射線科と密接に連携し、術前検討会を経て術前診断を行い、治療方針を決定しています。
診療実績
| 当科の臨床実績の特徴
安全な肝切除の実践
私共は肝切除を安全に行うために
- 肝臓の機能評価を行い、手術の可否を決定し、肝機能に基づいた手術法を採用すること
- 肝臓の解剖に基づいた手術計画をたてること
- 最新の手術器具を用いて丁寧で丹念な切除を行うこと
- 万全な出血対策を行い、出血量を減らすこと
を行っています。
特に肝臓は豊富な血管網を有しており、血流の多い臓器ですから、切除の際出血が懸念されます。肝切除中の大量出血は重篤な術後合併症の原因となります。われわれの努力により、現在平均出血量は400mlをきっています(下図)。この400mlは一回の献血で採血される量であり、もともと貧血がなければ輸血はまず必要はありません。したがって、肝切除にともなう平均出血量が400ml以下の施設は高い技術をもった施設と一般的に考えられます。当科では他臓器の合併切除を行わざるをえなかった症例や巨大な腫瘍に対する手術では出血量が増える傾向はありますが全体として平均の出血量は400mlをきっています。
結果として術後死亡症例はなく、合併症の重篤さを反映すると考えられるClavein-Dindo分類のIIIa(局所麻酔を要する処置を行った症例)3例(6%)で、IIIb(全身麻酔を必要とする処置を行った症例)以上の合併症例はありませんでした。
安全な膵切除
膵臓の切除は膵頭十二指腸切除17例、膵体尾部切除が6例に行われました。膵臓の手術の術後の膵液漏は最も重篤になりうる合併症です。
膵液は膵臓がつくる主に蛋白質を溶かす消化液ですが、膵臓の離断面からこれが大量に漏れ、感染を伴うと動脈性の出血を引き起こし、命に関わる合併症となりえます。当科では、最新の再建法を導入することで、現在のところ、重篤な膵液漏は1例も認めておりません。
膵臓の手術の術後ではClavein-Dindo分類のIIIa(局所麻酔を要する処置を行った症例)以上の合併症例はありませんでした。
| 群馬大学肝胆膵外科学 手術の内訳 (平成27年11月1日~平成28年7月5日)
総手術数 110件
| 日本肝胆膵外科学会高難度手術の内訳(平成27年11月1日~平成28年7月5日)
肝葉切除 | 15例 | |
内訳 | 巨大腫瘍前方アプローチ | 1例 |
肝外胆管切除、再建 | 3例 | |
下大静脈合併切除 | 1例 | |
肝動脈、門脈、胆管合併切除 | 1例 | |
区域切除 | 3例 | |
亜全胃温存膵頭十二指腸切除 | 18例 | |
内訳 | 合併肝切除 | 1例 |
膵体尾部切除 | 6例 | |
内訳 | 横行結腸、左副腎・腎、脾臓合併切除 | 1例 |
腹腔動脈幹合併切除(DP-CAR) | 1例 | |
膵胆管合流異常に対する分流手術 | 2例 |
| 肝胆膵外科腹腔鏡下手術の内訳(平成27年11月1日~平成28年7月5日)
肝切除 | 8例 | |
内訳 | 部分切除 | 6例 |
外側区域切除 | 2例 | |
膵体尾部切除 | 1例 | |
脾臓摘出術 | 1例 | |
胆嚢摘出術 | 16例 |
医療関係の方へ
| 患者様のご紹介にあたって
群馬大学肝胆膵外科では、木曜日以外の平日午前に初診枠、連携枠を設けています。
※通常の初診(紹介受診)の場合は、紹介状とともに受診をお願いできますと幸いです。
※初診を予約する場合は、医療機関からのみ可能です。紹介医(かかりつけ医)様にご相談ください。
詳しくは、以下の群大病院ホームページをご覧いただくか、下記連絡先へお電話ください。
- 群馬大学医学部附属病院 診療案内:初めて受診する方へ
http://hospital.med.gunma-u.ac.jp/outpatient2.html - 群馬大学医学部附属病院 患者支援センター:紹介医様からの初診の予約と受診について
http://kanjasien.dept.showa.gunma-u.ac.jp/chiikirenke.html - 群馬大学医学部附属病院 外科外来
TEL:027-220-8229(平日8時30分~17時)
対象となる疾患肝臓、胆のう、胆管、膵臓、十二指腸の悪性腫瘍(がん)・良性腫瘍、脾臓、副腎、後腹膜の疾患、胆石症、胆のう炎、急性膵炎、慢性膵炎、門脈圧亢進症など
| 患者様のご紹介にあたって
下記日程にて行っております(※木曜以外は新患に対応いたします)。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
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午前 | 初診・連携枠 | 初診・連携枠 | 初診・連携枠 | ― | 初診・連携枠 専門外来 |
午後 | ― | ― | ― | ― | ― |
群馬大学大学院医学系研究科総合外科学講座
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